――谷岸さんは事務所に入って何年目ですか?
中学1年生のときに入ったので3年目です。もともとダンスと歌を習っていたんですが、芸能界にあこがれるようになって、中1のときにスターダストプロモーションのオーディションを受けました。所属してから演技レッスンをはじめて、演技のお仕事を何回かやらせていただいたことで、「演技って楽しいな」「もっと演技のお仕事をしたいな」と思うようになりました。
――演技レッスンはどういう内容なんですか?
たとえば「30秒ストーリー」というものがあるんですが、その場で出されたテーマに添って即興でストーリーを考えて1人30秒ずつ演技するんです。最初の子が30秒演技したら、次の子がその続きの話を考えて即興で30秒演技して、みんなで物語を作るんですよ。
――そうしたレッスンを通じて演技の面白さを知ったんですね。今までのお仕事で印象に残っているものはありますか?
2014年のBeeTVの配信ドラマ「C級さらりーまん劇場」に菜々緒さんの娘役で出させていただいたんです。私は演技がはじめてだったんですけど、菜々緒さんが引っ張ってくださって。相手の方のお芝居で自分の芝居も良い方向に変わることができるんだなと思いました。
――9月からの明治座での舞台「SAKURA-JAPAN IN THE BOX-」の主人公サクラにWeb投票で選ばれましたね。
他の候補のみなさんは舞台の経験もある方だったので、舞台未経験の私は不安な部分もありました。アップしたコメント動画を見て投票していただくんですが、動画の撮影前に自分で言葉を考えて「どうしても舞台に立ちたい」という気持ちをちゃんと言うようにしました。
――サクラ役に選ばれたときは、どう思いましたか?
自分が選ばれるとは思ってなかったので、ビックリしちゃって「ホントに!?」という気持ちでした。外でその知らせを聞いたんですけど、大っきい声で叫んじゃって、まわりの人に驚かれました(笑)。「この子はサクラ役に合う」と思って投票してくださった方がたくさんいてくださるんだと思うと、すごくうれしくなりました。
――逆にプレッシャーはありませんでしたか?
歴史のある明治座さんでの大きな舞台で、不安な部分もあります。でも、まわりのみなさんから丁寧に教えていただいているので、楽しみです。
――谷岸さんが演じるサクラと、「SAKURA-JAPAN IN THE BOX-」について教えてください。
サクラは普通の女子高生です。元気な子というより地味な子で、いつも一歩踏み出す勇気が出せない子なんですよ。そんなサクラが不思議な世界に迷い込んで、春夏秋冬の精霊たちと出会っていろんな体験をして成長していくんです。
――和のテイストとアニメなどのポップカルチャーのテイストが融合した新感覚の舞台だそうですね。
スマホアプリの最新技術も舞台演出で使うんですよ。出演者の皆さんはプロの方なのでパフォーマンスもすごいんです。
――谷岸さんにとって初めての舞台ですが、ドラマや映画との違いを感じますか?
映像とは違った演技を意識しないといけないんです。大きな舞台なので、身体の表現でお客様に伝えなくちゃいけなくて、表現が難しいというか。そこもがんばらないといけないと思ってます。
――9月から始まって来年の3月までという長期間の公演です。
長い期間なので、毎回毎回の1回1回を緊張してやりたいと思っています。緊張が薄れてくると、動きが小さくなっちゃうと思うんです。特にサクラの心の動きは丁寧に、毎回毎回緊張して初めてのように演じたいです。お客様から「この子はサクラ役に合ってる」と思っていただけるように成長していけたらなと思ってます。
――谷岸さんはオーディションを受ける機会は多いですか?
はい。今までのお仕事はオーディションでいただきました。オーディションで台本や台詞をいただいたら、台詞の量が多くても絶対に全部覚えていくっていうのが自分の中で当り前のことになってます。
――それはスゴいですね!
やっぱり台本を持って演技すると顔が下を向いてしまって表情が見えなかったりしますし、台詞をちゃんと覚えてないと演技に感情が入らないので。それからオーディションで受ける役が決まっていたら、紙にその子はどういう子なのかを考えて書いて、役作りをちゃんとするようにしています。
――将来的にはどういう役者さんになりたいですか?
いろんな役を演じられる女優さんになりたいです。元気な子の役もできて、おとなしい子の役もできて、かわいい役からイジメっ子みたいな役までできる演技の幅が広い女優さんが目標です。
Photo/吉井明 Text/武富元太郎