――VRへの印象を教えてください。
技術の進化を感じますよね。360度、自分の好きな角度の映像を観られるわけですから。本当にその場にいる感じになる。そんなVRで映画を観られるって考えると、すごいことだと思いました。
――そのVR映画に主演。しかも初の"泣けるVR"と話題です。オファーが来たときは?
とてもおもしろそうでしたし、初めての挑戦になるので、ぜひやってみたいと思いました。西銘駿さんと一緒に、誰もが一度は憧れたような高校生活を演じられたらいいなと思いました。
――撮影に関しては、現場に入らないと分からないことも多かったと思います。VRならではだと感じたことは?
360度映すということは、スタッフさんたちもその場にいてはいけないんです。だから西銘さんとふたりきりだったり、カメラを相手にお芝居をするんです。本番中は監督さんもその場を外していて、いらっしゃるときには、後で映像処理して消せるように、監督さんとスタッフさんが一列に並んだ状態でなるべく映らないようにしていました。
――特殊な環境でのお芝居は難しくなかったですか?
いつもの撮影とは違って、不思議な感覚でしたね。でも逆に人がいなくて、一番自然に近い状態でできるのでメリットもありました。ただやっぱり人ではなくて、カメラに向かってお芝居するというのは難しいですね。
――夜の理科室や、プールに飛び込むシーンもありましたね。
はい。特にプールは大変でした。飛び込むシーンを1回で決めなきゃいけないプレッシャーがあったので。でも楽しかったですし、一緒にお芝居した西銘さんとは同じ年だったので、すごくお話ししやすかったし、彼は「仮面ライダーゴースト」で、私は「仮面ライダーアマゾンズ」をやっているので、そんなお話しもできました。
――みんなにはどんな風に楽しんで欲しいですか?
泣けるVR映画ということで、高校生の甘酸っぱい感じとか、切ない感じがあります。それに何より、その世界に入ったような気分になれます。ぜひ私と一緒に高校生活を楽しんでください!
――武田さんは芸能界入りのきっかけがオーディションです(「第2のくみっきー!発掘オーディション」でグランプリを受賞)。オーディションを受けるときに心がけたことは?
私は本当に何も芸能活動をしていなかったし、最初はすごく緊張していました。会場では何人かと一緒にオーディションを受けていたので、みんなと仲良くなりましたね。ライバルでもありますけれど、仲間意識もあるというか。私の場合は、仲良くなることで緊張がほぐれていきました。だから、そういった周りとのコミュニケーションも大事かなと思います。
――最初はご両親がご実家の福島から上京することに反対されていたとか。
はい。でもモデルは憧れだったので、自分の思いの強さ、夢をちゃんと伝えることで、理解してもらえました。
――現在では女優としても活躍されていますが、お芝居って楽しい!と意識が変わった瞬間があったのでしょうか?
舞台を経験したときに、「すごく楽しそうだね」って言われたんです。それで、あ、楽しいのかもしれないって気づいて(笑)。とにかく必死でしたが、そのなかで知らないうちに夢中になっていました。
――間もなく公開になる「ポエトリーエンジェル」の飯塚俊光監督とも、オーディションで知り合ったそうですね。
そうなんです。「チキンズダイナマイト」という作品のオーディションを受けて役をいただいたのですが、そのときに、「また別の作品でやれたらいいね」とお話ししてたんです。
――そして今回、主演が叶ったわけですが(岡山天音とのダブル主演)、こちらの作品で意識したことを教えてください。
私が演じた杏はボクシングをやっている女の子で、上手く喋れないという障害もあります。なので、撮影に入る前に、2か月間ボクシングジムに通ったり、杏と同じような症状を抱える方にあってお話を聞いたりしてから臨みました。
――肉体を使うボクシングだけでなく、詩のボクシングがテーマになった作品です。観る方にメッセージをお願いします。
「ポエトリーエンジェル」では、コミュニケーションが上手く取れないとか、友達ができないといった悩みを持った人たちが、詩のボクシングを通じてちょっとずつ成長していきます。悩み事って誰にもあるものですし、共感していただけると思います。それからロケをした和歌山の景色もキレイなので、そちらも楽しみにしていただきたいです。
――武田さんは今年、二十歳になりますね。楽しみにしていることはありますか?
今は成人式用の振袖を早く買いたいです!
――振袖というと着物ですが、時代劇もやってみたいですか?
はい。ぜひ挑戦したいです。難しそうですけど、時代劇で着物を着たり、馬に乗ったりもしてみたいですね。作品をやることによって、新たなことに挑戦できるのは嬉しいです。
――私生活でハマっていることを教えてください。
フィルムのカメラで撮影することにハマっています。現像はお店でしてもらいますが、出来上がるまでどんな風に撮れているか分かりませんし、楽しいです。風景を撮ったり、人物を撮ったり、現場に持って行って撮影風景を映したりもしています。
――「交際記念日」「ポエトリーエンジェル」以外も、テレビドラマを含めて大活躍です。これからどんな女優さんになっていきたいですか。
さきほどお話しした時代劇もそうですし、とにかくいろんな作品に挑戦していきたいです。まだ高校生の役もできますし、これからは社会人の役もどんどん挑戦していきたい。役の幅を広げていけたらなと思っています。
Photo/吉井明 Text/望月ふみ