──映画「ミスミソウ」の出演は、候補者1000人のオーディションで選ばれたそうですね! オーディションは妙子役で受けたんですか?
オーディションでは、妙子をふくめてイジメっ子の女子4人を演じました。演技のお仕事は初めてなのでわからないことも多かったんですけど、こういう作品だから恥は捨てて、やりきったほうがいいなという気持ちでオーディションを受けました。その後に受かったって聞いて、しばらくしてから「妙子に決まったよ」と聞きました。
──原作漫画を読まれた感想を教えてください。
第一印象は衝撃が大きかったです。自分のいる世界からは考えられないような世界だったので。でも、もしかしたら、自分の見えないところでは同じようなことがあるのかもしれないと思いました。衝撃や怖さもありましたけど、その中からちょっとずつ垣間見えてくる愛も感じ取れて素敵な作品だなって思いました。
──ジャンルで言うと、『ミスミソウ』はサスペンスやホラーにあたると思います。原作漫画も映画も、かなりハードな描写がありますよね。
映画だと、血とかもあんまり苦手じゃないんです。だから、「目をつぶりたくなるけど、でも、見たい!」みたいな感じでした(笑)。
──妙子にどういう印象を持ちましたか?
クラスの中でも絶対的な女王のような強い存在というイメージでした。今の自分のままだと妙子になれないと思って、髪の色を変えたり、彼女の中の強いだけじゃない部分も読み取って自分と似ている部分を探して、ちょっとずつ妙子に近づけていきました。
──あの金髪はウィッグじゃなかったんですか!
他の仕事のときには黒髪のウィッグをつけてました(笑)。
──イジメっ子を演じることに抵抗はありませんでしたか?
私はまだ他の作品に出てないので、第一印象がイジメっ子になっちゃうこともあるかもしれないんですけど、現実の自分と違うぶん、役に入りやすいところもありました。だから、そんなに抵抗はなかったですね。
──今回が女優デビューになるわけですが、初めての映画の現場はいかがでしたか?
本当にいろんなかたに助けていただきました。内藤(瑛亮)監督はマンツーマンで教えてくださったり、私の出番がないときでも現場に見学に行けるようにしてくださったり、「他の子と練習してみたら?」ってことで他のキャストさんにお願いしてくださったり、いろんなサポートをしてくださいました。
──真っ白な雪の風景が印象的でしたが、あれだけの雪だと寒くて大変だったんじゃないですか?
寒くて大変でした(笑)。ヒーターもあったんですけど、寒すぎて感覚がないから暖かくないんです。もう、「火に触っても熱いって感じないんじゃないか」ってぐらいでした。でも、辛かったけど、寒さを感じる表情がリアルなお芝居につながったかなとも思います。
──そんな雪の中で、妙子はある人物と戦いますよね。
あそこが一番大変でした。でも、寒いけど、そんなことは言ってられないし、終わったらお風呂が用意してあるって聞いたんで、「がんばろう!」って思いました。
──NGを出したら大変ですよね。
撮影に入る前から、相手役の子と監督、アクション指導のかたと、あのシーンだけで2~3日練習したんです。血ノリの吐きかたとか蹴る場所とか、細かいところから練習しました。
──怪我をする場面では特殊メイクもしてますね。
プロのかたにあそこまでしていただくのは初めてで、「こうやるんだ! こんなにリアルなんだ!」って思いました。スタッフさんは本当にすごいんです。現場で小道具として作り物の石が必要になったら、すぐに作っちゃうんですよ。
──完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
自分が現場にいなかったときの他のキャストのかたの演技も見れたから新鮮さもあったし、自分の演技も「こういう見え方になってるんだな」と勉強になりました。観客というか見る側としては、いろんな気持ちがこみ上げてきました。登場人物はみんな、本当は普通の中学生だったんですけど、純粋な気持ちがどんどんゆがんでいって、悲劇を呼んでしまう。そこに行き着くまでの彼らの心の中にあるものが読み取れるなと思いました。
──大谷さんは雑誌「nicola」のモデルのオーディションが芸能界デビューのきっかけですよね。
お母さんとおばあちゃんの影響でちっちゃいころからお洋服が大好きだったんです。たまたま家族で東京に来たときに、この事務所ではないんですけど、スカウトしていただいたことがあって、徐々にモデルに興味を持つようになって、中学に入ってから、友達の「オーディションを一緒に受けない?」って一言で、この世界に入りました。
──「nicola」のオーディションでは受かるために、どういうことを心がけたんですか?
受からないと思ってたんです。受けるからには受かりたいという気持ちもあったんですけど、期待しすぎると落ちたときに怖いじゃないですか。一次審査も友達との軽いノリだったし、審査を通っても自信がない自分がいて。最終審査の前も受からないと思ったから、そのとき野球部だったんですけど、「もういいや」と思って日焼け止めもぬらなくなって、すっごい日焼けしたんです(笑)。審査でもビックリされました。後で自分がなんで受かったか聞いたら、「面白いから」って言われました(笑)。私は野球と空手をやっていて、そういうのが面白いって言われて。やっぱり人と違うものを持ってると強みになるのかなって思います。
──テレビ東京のバラエティ番組「ポケモンの家あつまる?」にレギュラー出演中ですね。
出演が決まったのが、「nicola」のモデルの最後の年だったんですよ。結構、自分の中でもあせってる部分があったときに選んでいただいたんですが、テレビに出たことがなかったし、共演するかたも普段テレビで拝見するかたばかりだったので、すごい緊張しました。でも、スタッフさんが回を重ねるごとに、私のいろんな部分を引き出してくれるので、新しい自分を発見できた仕事だなあって思います。
──今回の「ミスミソウ」が女優としての第一歩ですが、今後も演技のお仕事を?
やっていきたいです。以前から演技のお仕事はやりたいと思っていて、やっと挑戦できたので。もっとやりたいという気持ちも、まだまだできるって気持ちもあるので、これからも挑戦を重ねていきたいです。
Photo/川野結李歌 Text/武富元太郎 Hair&Make/千葉智子