――望月さんは真田十勇士はご存じでしたか?
真田十勇士については知らなかったんですが、猿飛佐助の名前はどこかで聞いたことがあって知ってました。真田幸村はゲームで出てくるので、すごく強い人という印象がありました。今回の「真田十勇士」は、その幸村が実はすごい人じゃなかったという話だったので、台本で読んだときは「すごい!」と思いました。
――発想に驚いたんですね。望月さん演じる真田大助はどういう人物でしょう?
幸村の息子で、「お父さんはすごい人」という嘘を本当に信じきっています。その嘘を心から信じきったらこうなりますよというのの代表みたいな感じだと思います。
――「真田十勇士」は舞台と映画の両方で展開します。演じる側として、どういう違いを感じていますか?
あんまり違いは感じていないんですが、舞台版では役によっては映画版とは違う役者さんが演じてらっしゃるので、お芝居で絡むときなど「このかただとこうなるんだ」と感じたりして、そこは違うなと思いました。それから今まで舞台に立ったことがないからハッキリとはわからないんですが、お客さんにより強く伝わるものがあるんじゃないかって感じています。
――生ならではの迫力ですとか、客席との近い距離感もありますよね。ただ、NGを出せないというプレッシャーもあるのでは?
僕は今回が初めての舞台なんですが、皆さんから「舞台は毎日毎日いろんなことが起きるよ」って言われました。怖いなとも思ったんですけど、「それが楽しいんだ」と皆さんがおっしゃってるので、楽しみでもあります。
――一方の映画版は大がかりなセットや合戦シーンが見どころです。
千葉の山の中とかで撮影したんですが、移動の車の中からセットを見た皆さんが「うお~、なんだ、これ~!?」って驚いてました。車を降りて改めて見てもデカくてスゴかったです。
――望月さんは馬にも乗ってましたね。
この撮影のために練習に通いました。馬が走るのに合わせて自分も上下にはねないといけないんですけど、鞍に自分のおしりを叩きつけられるみたいな感じで、最初はすごく痛かったです(笑)。でも、ある程度乗れるようになって、最後は楽しくなりました。
――望月さんはもともとダンスをやっていたんですよね。
小学校1年か2年ぐらいのころに始めました。僕は覚えてないんですけど、お母さんに聞くと嵐さんにあこがれて始めたそうです。小学校5~6年生ぐらいまで習ってたんですが、そこでお芝居に少し触れる機会があって「楽しいじゃん」と思って俳優を目指すようになりました。
――2015年の映画「ソロモンの偽証」で望月さんを知った人も多いと思います。
「ソロモンの偽証」は撮影に入るまでのオーディションやワークショップの期間も長かったので、思い出深いです。同世代のキャストがたくさんいて、毎日学校みたいに通ってたこともあって印象に残ってます。
――ただ、望月さんが演じた柏木卓也は他の登場人物と一緒の場面が少ないですよね。クライマックスの裁判シーンにもいないですし。
裁判のところの現場にも行ってたので、毎日一緒にいたって感じなんです。共演したメンバーとは今も交流があって、こないだも集まれる人だけなんですけど集まってご飯を食べに行きました。
――「ソロモンの偽証」はオーディションが大規模だったことでも話題になりましたね。
同世代がたくさんいるから、燃えるというか、「負けないぞ」という気持ちになったのを覚えてます。今もオーディションを受ける機会は多いんですが、そのときはいつもどおりでいようと心がけています。自分を作らず、そのままで行けばいいと思ってます。
――11月には映画「疾風ロンド」が公開されますね。
撮影は濱田龍臣と(お笑いコンビ「まえだまえだ」の)前田旺志郎がロケの宿で同部屋で、一緒に風呂に入ったり、ご飯に行ったりして楽しかったです。ムロツヨシさんも出られてるんですが、お芝居がすごく面白くて笑いが止まらなかったです(笑)。
――「こういう役者になりたい」「こういう作品に出たい」という目標はありますか?
役によって全然違う印象になる役者さんはカッコいいなあって憧れています。作品だと僕、大友啓史監督の「るろうに剣心」がホントに大好きで。以前、2~3ヶ月ぐらいだけ個人的に殺陣を習いにいったこともあるんですが、いつかああいうアクションをできたらいいなと思っています。
――最後にあらためて「真田十勇士」の見どころをお願いします。
嘘がテーマなんですけど、何が嘘なんだろうというところに興味を持っていただけたら面白いんじゃないかなと思います。それから、気づきにくいかもしれないんですが、合い言葉に意味があったりするので、そういったところにも気を配って見ていただけたら嬉しいです。舞台と映画がありますが、役者さんが違ったらこうなるとか、生と映像でそれぞれ伝わってくるものが違うと思うので、そこも楽しんでいただきたいです。
Photo/金丸雅代 Text/武富元太郎