――デビューのきっかけはスカウトだったそうですね。
大阪の梅田でスカウトしていただきました。当時、小学校6年生で、「わっ! からまれてしまった」とちょっと思ったんですよ(笑)。どうしようと思ったんですけど、よくよく話を聞いてみたらスカウトだということで、「こういうことがあるんだな」とビックリしたことが思い出に残っています。芸能界へのあこがれはありましたけど、「こういうことをしたい」という具体的な夢はまだなくて、本当にぼんやりとしたあこがれでしたね。
――事務所に入ってからのレッスンで印象に残っているものは?
みんなが同じ状況でするエチュード(即興で行う芝居)です。同じシチュエーションでも、暗くやる人もいれば、めっちゃ明るくやる人もいて、全然一緒にならないんですね。演じてみて面白いなって思いましたし、「人によって演じ方って違うんだな」「ひとつにとらわれないんだな」と思いました。
――役者としての目標はどういうものですか?
ひとつのジャンルや役柄にとらわれたくないですね。今回の「一週間フレンズ。」の桐生将吾はクールな役ですけど、明るい役にも挑戦してみたいです。最終的にはオールマイティに活躍できるようになりたいなって思っています。
――松尾さんが所属するグループ、超特急としての目標は?
「東京ドームでライブをする」って目標は結成当初からずっと言ってますね。いつになるかはわかりませんけど、そこを目指していきたいってのは、メンバーのみんなでずっと言い続けています。
――「一週間フレンズ。」で桐生将吾役が決まったときのお気持ちは?
うれしい半分、不安半分っていう感じでした。決まってうれしい気持ちはあったんですけど、原作ですごく人気のある役でもあるので、ファンの方もいっぱいいらっしゃる中で納得してもらえる演技ができるんだろうかって不安もありましたね。
――原作漫画も読まれたんですね。
はい。学園生活をテーマにしたものっていっぱいある中で、「いかに友達になれるか」というところが軸になってストーリーが動いているところが、今までに見ない形だなと思いました。作品独特の暖かさも感じて、老若男女が楽しめる作品だと思いました。
――役作りはどのように行ったんでしょうか?
桐生はクールで寡黙ですけど、すごく仲間思いなので、ただクールなだけの人にはなりたくなかったです。それから、「一週間フレンズ。」の空気に一度触れてみたいと思ったので、聖地に行かせていただきました。
――作品の舞台である場所などに実際に行ってみる、いわゆる"聖地巡礼"ですね。監督などに指示されたのではなく、松尾さんご自身が行きたいと思って実行したんですか?
完全にプライベートです(笑)。桐生たちが暮らしている場所の空気を自分の目と感覚で確かめてみたいなと思ったんです。
――演技に関して、主演の山﨑賢人さんと何か話しましたか?
撮影の直前まで、役に対して考えたり悩んじゃったりすることも多かったんですけど、撮影現場で山﨑くんが「そこまで重たくとらえなくてもいいんだよ。もっと気楽にやっちゃっていいんだよ」って言ってくださったんです。そのひと言で、気負いせずに演じることができました。いろんな方に支えていただいた撮影だったので、本当に感謝です。
――撮影現場では共演者のみなさんと他にどういうことを話したんでしょうか?
世間話というか、他愛もないことを話すことが多かったので、「本当にこれは学校の休み時間なんじゃないの?」って思いました(笑)。撮影現場になってる学校の空き教室を楽屋として使うことが多かったので、本当にそういう感じがしました。
――村上正典監督とはどういうことを話しましたか?
撮影が始まる前に「演技やセリフって、ただ単に覚えて口から出るというだけのものじゃなくて、本当に心の中で思ったから口から出てくるものなんだよ」って言ってくださったんです。そのことを撮影が終わるまでしっかり意識しました。
――松尾さんが思う「一週間フレンズ。」の見どころは?
作品の中に(川口春奈さんが演じる)香織の目線だったり、(山﨑賢人さんが演じる)祐樹の目線があるんですけど、個性的な登場人物が多いので、桐生や(高橋春織さんが演じる)沙希の目線から見たら、また違った観点から見れて面白いんじゃないかなと思ってて。だから、「何回見ても飽きないんじゃないかな」「そういういろんな見方もできるんじゃないかな」と思っています。
――超特急のみなさんが主演をつとめた「サイドライン」と今回の違いは?
まず、メンバーが近くにいないっていうのが自分の中で新鮮でした。演じた役的にも「サイドライン」のほうは自分の思っていることを素直に言えない悩みを持ってる役だったので、前回と今回の役は状況も役柄も違って、新しい感じでした。
――松尾さんが普段オーディションで心がけていることを教えてください。
今回の桐生役もオーディションだったんですが、オーディションって正直緊張しちゃうこともあります。だけど、それまでに考えてきたものや用意してきたものをすべて出すために、そのときだけは何事も恐れずに行ってみようということを意識しています。どんな結果になっても悔いは残さないようにしたいと思っていて、やれるだけのことはやってベストを尽くしたいというのが、まず第一にあるんです。
――最後に芸能界を目指している読者の方にアドバイスをお願いします!
自分がやりたいことでも「これって自分に向いてるのかな?」って不安になることもあると思うんですよ。でも、そういうのって意外とやってみないとわからないことが多いんです。僕も正直、いまだに将来のことがわからなかったりしますけど、活動してうまくいったときの達成感やみんなで作り上げていくうれしさは、他にくらべることができないものなので、こういう活動をしてみたいと思ってる方は意を決して飛び込んでみるのも有りなんじゃないでしょうか。お互いに夢に向かって走っていけたらなと思っています。
Photo/金丸雅代 Text/武富元太郎