――映画「少女たちの羅針盤」ですが、撮影はいつ頃やっていたんでしょうか。
「去年の6~7月頃ですね。広島県の福山市が舞台だったんですが、その間、合宿みたいにずっと行きっぱなしで撮影していました」
――共同生活をしながらの撮影ということで、女子高生4人が仲良くなって劇団を結成する......というストーリーとリンクしたんじゃないですか?
「ストーリーとリンクということではないですけど、撮影はもちろん毎日ありますし、劇団で舞台をするシーンがあったのでその稽古もたくさんしなくてはいけない。色々話し合ったりもしてたので、羅針盤のメンバー4人とは一緒にいる時間がすごく長かったですね。いつも一緒にいた印象があります」
――本当に仲良し4人組で劇団を結成したような生活だったと?
「そうかもしれませんね。個々の役としてももちろんそうなんですが、4人で劇団・羅針盤にならなくてはいけないというのがあったので、カメラの前だとか本番だとか関係なく、4人で同じ時間を過ごすことに意味があったんじゃないかと。『おはようございまーす』から『お疲れ様でした』の間だけ演じているというのでは成立しなかったと思います」
――映画の中では4年前と現在とが交錯してストーリーが進んでいきますが、それを演じ分けるのは大変だったんじゃないですか?
「現在のパートというのは、撮影期間の後半にまとめて撮ったので、演じ分ける上で現在と4年前とが混乱したりというのはなかったです。そもそもそんなに年月の経過による違いは考えていませんでしたね。それよりも、精神的な変化を意識して演じました」
――劇団結成当初の未熟な演技から、大きな舞台に立つまでの変化というのも自然に表現されているように思えました。
「やはり、そこはストーリーの中でもポイントになってくると思ったので意識してやっていますね。どう変化させていったかと聞かれると、ちょっと言葉では表現しづらいんですけど、監督さんから指示されたことなどを参考に、自分たちなりに色々と想像しながらやっています」
――監督からはどんなアドバイスを受けていたんですか?
「そんなに細かく指示されたわけじゃないんですが、とにかく『羅針盤になってください』っていうのはよく言われていましたね。『今のままじゃ羅針盤には見えませんよ』とか」
――DVDとBlu-rayでは、羅針盤による劇中劇のフルバージョンが収録されているそうですが、こういう舞台での演技というのは初めてですよね? 実際にやってみて、映画やドラマの演技と舞台の演技というのは違うものでしたか?
「エキストラでお客さんを入れて演じたシーンもあったのですが、あまり違うとは思わなかったです」
――今後、舞台をやってみてやってみたい、というような気持ちは?
「いろいろなことに挑戦したいので、機会があれば舞台ももちろんやってみたいですね」
――普段から、役作りをする上で考えていることってありますか?
「私は、役作りをする時に自分だけでやれることももちろんありますが、実際に現場に入って、その場で感じたことを表現することも大事だと思っているので、『私の役作りはこうです』というのは考えたことがないですね。脚本を読んだだけでスッと役に入れる作品もありますし、読んだだけじゃどんな役柄なのか想像できない脚本もありますし」
――今回の「少女たちの羅針盤」の場合はどうでしたか?
「脚本を読んだ段階ではどんな子なのかよく分からなくて、面白いのか面白くないのかという判断すらできなかったんですけど、一緒にやるスタッフさんの名前を聞いたら、この人たちと一緒にやりたいって思っていた素敵な人たちが集まっていたので、『分からないままやってみるのもいいんじゃないかな』って思って飛び込んでみました。最近はすごく人に興味があるから、羅針盤の現場でも時間があればスタッフさんと話していましたし、たくさんの人と一緒にひとつものを作っていくということがすごく面白いと思っています」
――いろんな方と一緒にお仕事をされてきていると思いますが、その中でも印象に残っている共演者さんっていますか?
「今回、共演した草刈麻有さんはすごく印象に残りました。一緒に演じていても新しいなって思いました。スクリーン上で見ていても『ニュー!』って思うくらい(笑)。お芝居というか、人間性自体がすごく面白くて存在感があるというか。自分をどう見せようとか、どう映りたいとか考えなくても、その人自身が出ちゃってる感じがしました」
――お休みの日はどんなことをして過ごしているんですか
「映画館に行って映画を見ているくらいですかね......。あと、最近は撮ることにも興味があるので、写真を撮ったり、8ミリカメラで映像を撮ったりしています」
――自分で映画を撮ってみたいと思っていたりするんですか
「うーん、興味はないわけじゃないですけど、それを人に見せるとなると恥ずかしいですね......」
――マニアックな音楽の趣味も持っていると聞きましたが
「最近、あんまりライブには行けてないんですけどね。以前、写真の連載をやっていたんですけど、モーモールルギャバンというバンドのライブに行って、その写真を撮って載せてもらったこともあるんですよ」
――えっ、ステージ前の柵中に入って撮影していたんですか?
「そうです。人にぶつかりながら撮影していたんですが、すごく楽しかったです」
――今回共演した忽那汐里さんとは学校も一緒で同級生だったそうですけど、普段も遊んだりするんですか?
「はい、時々遊びますね。実は同級生だったにも関わらず、羅針盤をやる前は全然しゃべったことがなかったんです。でも、共演することが決まって撮影に入る直前に修学旅行があったので、旅行中は夜中まで『がんばろうね』って話し合ったりしました」
――それでは、オーディションの思い出などがあったら教えてもらいたいのですが。
「自分自身のオーディションの思い出って、小さい頃のことだったのでホント、思い出せないんですよ。でもオーディションって面白そうですよね。オーディションを受けて自分の手で役を取るって言うのはいいことだと思います」
――オーディションを受けてでもやってみたい役ってあったりしますか?
「今はどんな役でもやってみようと思っているので、特にこだわりはないです。それよりは、面白いスタッフや、キャストの方とご一緒できることがとても楽しみです」
――最後に、これから芸能界を目指している人たちにアドバイスをお願いします。
「いやあ、私が聞きたいくらいなんですけど......。私は完成していないものが好きなんで、特に意識して何をするわけでもなく、自然体でやりたいと思うことをやりたいようにやっている人がいいと思います。演技の上手い下手よりも、その人自身というのがすごく大事だと思います。共演するなら、優しくて真面目な人とがいいですしね。どんなに演技が上手くても、性格が悪い人はイヤですもん。やっぱり役者も人間性が大事ですよ」
(取材=2011年10月某日)
取材・文=北村ヂン 撮影=河野英喜