――芸能界に入ったきっかけはスカウト。どんな状況で声をかけられたの?
「小6の時、なんと地元のお祭りで。まさかこんな場所にスカウトマンがいるとは思わなくて、すごくびっくりしました。あと事務所に入ってから聞いたんですけど、当時のスタッフさんは私を男の子だと思って声をかけたそうなんです。すごく短いショートヘアだったから、勘違いされても無理はないんですけど(笑)」
――その後すぐ事務所に所属したの?
「いえ、入らない気満々でした(笑)。当時はバスケ漬けの毎日だったし、芸能界に憧れもなかったので。ただ、目立ちたがり屋で、人と違うことをやってみたいって気持ちはずっとあって。"事務所に入ってる自分、カッコいい"みたいな(笑)、最初はそんな軽い感じでしたね」
――芸能活動を始めて最初の大きな転機といえば、「セブンティーン」の専属モデルオーディション。
「実は私、グランプリをいただく前に 一度挑戦して落ちてるんです。その他にもいろんなオーディションにたくさん落ちていて、その時はまさに背水の陣で臨みました。緊張しいなので、自己アピールの最中に何を言ってるのかわからなくなるんですよ。『特技はないです』って言っちゃったり。今思うとその消極的な姿勢が原因だったのかなって」
――オーディションを受ける際のコツって何だと思う?
「作り込まず、ありのままの自分を出すこと。受からなきゃって固く考えるより、自分を知ってもらう場所なんだと思ったほうがリラックスできると思います。あと、周りとは違う部分をアピールして印象に残るようにすること。演技のオーディションだったら、私はせりふの言い回しや仕草を結構アレンジしてましたね」
――女優のお仕事は最初どう感じた?
「ウチの事務所は演技レッスンがな く、"現場で学んできなさい"というスタイル。だから最初は本当に見よう見まねでした。あと私、お芝居を初めてから今まで悩んでない時期がないんです。新しい役をいただいたら必ず壁にぶち当たるし、映画『銀の匙』の時なんて、"この役には必要ない"と思って手持ちのかわいい服をいくつか捨てちゃったんですよ!」
――それは思い切った行動! でも、どうして?
「演じたのが、酪農と常に背中合わせで生きる、自分とはあまりにもかけ離れた女の子で。ずっと彼女のことを考えて、染み付けなきゃって思ったら、そういう服がこの役には必要ないって思ったんです」
――役が私生活にも影響するタイプ?
「します。しかも大体役のことばかり考えちゃう。以前、自分のメイン回のあったドラマの時に『お姉ちゃんが死んじゃうんじゃないかって心配した』って、妹に言われました(笑)」
――放送中のドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』では、山崎美里役で出演中。手に汗握る展開の中、美里と野球部の沖原(工藤阿須加)のシーンが来ると、どこかホッとしちゃいます。
「唐沢(寿明)さんにも『美里と沖原だけ'80年代の恋愛ドラマみたい。箸休め的なシーンでいいよね』って言われました(笑)。でも本当にその通りで、少し肩の力を抜いて和んでもらえるシーンになればいいなって。美里は自分からデートに誘ったりするんですけど、私にはないその積極さがすごいなって。彼女のまっすぐなところが魅力的だなと思って演じていますね」
――そうそうたる実力派俳優さんたちとの共演はどう?
「最初の本読みの時、私がここにいていいの!?って思いました(笑)。でも今はすごくかわいがっていただいています。1話で美里が沖原にミカンを投げるシーンがあったんですけど、みなさんよく"青春をくれ!"って感じで、私たちにそのやり取りをリクエストするんですよ。だからミカンの代わりに野球ボールを使って、たまに寸劇みたいなものを披露させていただいてます」
――最後に、今後の目標を教えて!
「これがなくなったら自分には何も残らない......ってくらい、今はこの仕事にのめり込んでいるので。よく憂鬱になるし、楽しいことより大変なことのほうが多いけど、見てくださった方に『泣けた』とか『感動した』って言ってもらえると本当にうれしくて。心からやってよかったなって思うんです。今後も新しいことに挑戦しながら、女優の仕事を長く続けていきたいですね」
photo/ 安藤青太、text/ 川倉由起子、hair & make up/ 宮本愛、styling/ 津野真吾